前回書いた抽出のメカニズムAとBですが、Aはコーヒーの粉の中をお湯が透過していくときの抽出のメカニズムで、Bはコーヒーの粉がお湯に浸っている状態での抽出のメカニズムです。さてどちらが抽出効率(成分の質と量)が高いでしょうか?プロを含めおおくの方は、お湯と接している時間の長いと思われる、メカニズムBを選びます。メカニズムAはお湯が通過してしまうので、抽出効率が悪いと考えがちです。しかし長年の経験から得られる結論は真逆です。すなわち抽出効率はA>Bなのです。つまり日本式ドリップにおいては、他のすべての抽出条件を同じにしても、少しずつ注湯したほうが、抽出効率が高くなるのです。コーヒーの豆に含まれる、お湯に溶け出す成分を全て抽出すると、それは一番美味しいコーヒーとはなりません。なぜなら美味しいと感じられる成分の殆どは比較的早い時間で抽出されてしまい、遅い時間帯での抽出成分はあまりおいしさに寄与しないからです。したがってより美味しい成分だけを取り出すには、成分抽出効率を高めることは有効な1つの方法であるということが出来ます。
またメカニズムのAとBですが、別の言い方をすれば、Aは重力の影響下での抽出のされ方であり、Bは殆ど重力の影響を受けない抽出のされ方であるという見方も出来ます。
前にも書きましたが、ドリッにおいてはこのAとBが同時に進行しており、簡単に切り離して実験して抽出効率を比較することができない難しさがあります。そこで本当にA<Bなのかを科学的に説明する必要が出てきます。
しかしこのブログではとても説明仕きれません。詳しくお知りになりたい方は、昨年の12月に日本コーヒー文化学会から出された(コーヒー文化研究17号)の拙稿『ドリップ抽出における法則』をご覧ください。また当店内ではいつでも閲覧できますので、どうぞお越しください。
posted by kakurenbou at 13:33|
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